2026年9月

杉並区の創業スタートアップ助成(家賃・ホームページ制作費)を取りこぼさないために

この記事の要点

  • 家賃なら最大30万円、ホームページなら最大20万円(どちらか一方、3分の2)。先着順
  • 申請できるのは「基準日時点で創業後6か月以内」だけ。2026年度第2回は10月1日〜11月30日
  • 自宅兼事務所とシェアオフィスは家賃助成の対象外。お金は先に全額払い、あとで戻る

杉並区で創業された方、これから創業される方に向けて、区の「創業スタートアップ助成」を整理します。

募集は年2回で、「創業後6か月以内」の間しか申請できません。

制度を知ったときには申請期間が終わっていた、という取りこぼしが起きやすい制度です。

この記事は、杉並区公式サイトと、区が公開する募集要項・よくある質問・申請書記入例を直接確認して書いています。

数値はすべて2026年9月6日時点の確認です。制度は年度ごとに改定されますので、申請の際は最新の募集要項をご確認ください。

2026年度の第2回は、10月1日から11月30日まで

第2回の申請は10月1日〜11月30日。対象は2026年4月1日〜9月30日に創業した方です。

創業スタートアップ助成は、区の産業振興センター就労・経営支援係が所管する制度です。

種類は2つで、どちらか一方のみ申請できます。

  • 事業所家賃助成:助成率3分の2、月額上限5万円×最大6か月、限度額30万円
  • ホームページ等作成助成:助成率3分の2、限度額20万円

2026年度の募集は2回です(募集チラシ、2026年9月6日確認)。

  • 第1回:基準日2026年4月1日、申請期間2026年4月1日〜5月29日
  • 第2回:基準日2026年10月1日、申請期間2026年10月1日〜11月30日

第2回の対象は、2026年4月1日から9月30日までに創業した方です。

2025/102026/12026/42026/72026/102027/1創業日がこの間なら第1回基準日 4/1申請 4/1〜5/29創業日がこの間なら第2回基準日 10/1申請 10/1〜11/30基準日時点で「創業後6か月以内」であること
創業日がどの募集回に当たるか。基準日を1日でも過ぎて創業すると、次の回になります。

助成は「予算の範囲内」で「先着順」と明記されています。審査で採点される制度ではありません。

第1回については、区公式サイトに「5月30日以降も申請受付を行っています。予算に達し次第、申請受付を終了します」という2026年5月30日付の追記があり、9月6日確認時点でも掲載されています。

2025年10月1日〜2026年3月31日に創業した方は、受付状況を窓口に確認する価値があります。

「創業日」の定義で対象が決まります

基準日に「創業後6か月以内」であること。創業日が1日ずれると次の募集になります。

対象者要件は、基準日時点で創業しており、かつ創業後6か月以内であることです。

創業前の段階では申請できません。

創業日の定義は募集要項にあります。

  • 法人:登記事項全部証明書および法人設立届出書の会社設立年月日
  • 個人事業主:原則として「個人事業の開業・廃業等届出書」の開業日。開業日の記載がなければ税務署への提出日

よくある質問には、「数年前に開業届を提出し、最近事業を開始した」ケースは対象外と明記されています。

創業日を自分で決められる方は、基準日との位置関係を見てください。

たとえば2026年10月2日に法人を設立すると、第2回の基準日(10月1日)時点では創業していません。第2回には申請できず、次の募集(2027年度第1回、内容は未公表)を待つことになります。

区外で創業して区内に移転した場合も、創業日が対象期間内なら申請できます。ただし創業日は区外で創業した日で数えます。法人は本店登記の移転、個人事業主は開業届の納税地変更が必要です。

「区内に主たる事業所」とは、法人なら本店登記、個人事業主なら開業届の事業所住所が区内であることを指します。

家賃助成の対象になる契約、ならない契約

自宅兼事務所とシェアオフィスは対象外。事業専用に新規契約した事務所だけが対象です。

事業所家賃助成の対象は、次の4点をすべて満たす事務所等の賃料です。

  1. 1.区内の事務所等で、事業のために継続して使用し、住居と兼用しないこと
  2. 2.助成対象者自らが、新規に事業用の賃貸借契約を締結したこと
  3. 3.貸主が3親等以内の親族や、自社・グループ会社の構成員でないこと
  4. 4.シェアオフィス、コワーキングスペースなど、申請者以外の者と空間・設備を共用する物件でないこと

敷金、礼金、保証金、更新料、共益費、駐車場料金、振込手数料などは対象外です。

創業直後の方が選びがちな形態は、多くが対象外です。

  • 自宅兼事務所:住居兼用のため対象外
  • シェアオフィス、コワーキングスペース:対象外
  • バーチャルオフィスに本店登記しているだけ:区内に事業実態がないとして制度自体の対象外(事務所等の事業実態も区内にあれば対象)

一方、自宅マンションの隣室を事業用として契約した場合は対象です。

自宅用契約の部屋は、事業用契約を締結し直せば対象、そのままなら対象外です。

契約名義は、法人なら法人名または代表者、個人なら申請者本人のみです。

対象になる

  • 事業専用に新規契約した区内の事務所
  • 自宅マンションの隣室を事業用として契約
  • 自宅用だった部屋を、事業用契約に締結し直した

×対象外

  • 自宅兼事務所(住居と兼用)
  • シェアオフィス・コワーキングスペース
  • バーチャルオフィスに本店登記しているだけ
  • 貸主が3親等以内の親族や自社・グループ会社の構成員
名義・光熱費・計算方法の細かい条件

賃料に水道光熱費やネット使用料が含まれる場合はその部分が除かれ、内訳が分かる書類が必要です。

月額の計算は、消費税を含んだ金額で行います。

記入例では、賃料7万円のとき7万円×3分の2=46,666円、6か月で279,996円、千円未満切捨てで279,000円と示されています。

記入例の計算(賃料7万円の場合)

税込賃料

70,000円

× 3分の2

46,666円

× 6か月

279,996円

千円未満切捨て

279,000円

月額上限5万円に届くのは、税込賃料が7万5千円以上の場合です。

申請時点で賃貸借契約を締結していることも要件です。契約書なしに他の書類だけ先に出すことはできません。

ホームページ等作成助成の対象経費と、対象外

制作の委託料・ソフト・解説本は対象。ドメイン・サーバー・掲載費は対象外です。

対象は次の3つです。

  • 創業に伴うホームページ・モバイルサイト・アプリ作成に関する委託料
  • ホームページ作成ソフトの購入費
  • ホームページ作成に関する解説本等の購入費

対象外として、ドメイン費、サーバー費、パソコン等の備品・周辺機器が募集要項に明記されています。よくある質問では、サーバーレンタル費などのランニングコストも対象外です。

理美容院や飲食店の検索・予約サイトへの掲載費や、公式アカウントの作成費も対象外です。

完成したホームページには、事業所住所が杉並区内であることが分かるよう明記する必要があります。

助成額は交付申請時の見積書を根拠に決まり、交付決定額が上限です。

実際の支払額が見積より増えても助成額は増えません。減った場合は実支払額の3分の2(千円未満切捨て)に減ります。制作会社の変更は可能です。

制作費とランニングコストが一体の見積で内訳が分からない場合は、対象外となることがあります。

見積の段階で「初期制作費」と「月額費用」を分けて出してもらってください。金額は消費税込みで計算します。

申請から入金まで。先に払い、後から受け取ります

全額を先に払い、実績報告のあとで3分の2が戻ります。

流れは6段階です。

  1. 1.交付申請
  2. 2.交付決定
  3. 3.実績報告
  4. 4.確定通知
  5. 5.交付請求
  6. 6.助成金の交付
  1. 1交付申請
  2. 2交付決定この月の翌月分から対象
  3. 3実績報告家賃・制作費を先に全額支払ってから提出
  4. 4確定通知
  5. 5交付請求
  6. 6助成金の交付家賃は原則3か月ごと、ホームページは作成後1回

いったん全額を自分で払い、そのあとで3分の2が戻る構造です。

助成金は、契約相手方に支払いを済ませたあとの実績報告に基づいて交付されます。家賃助成は原則3か月ごと、ホームページ等作成助成はホームページ作成後に1回です。

家賃も制作費もいったん全額を自分で支払い、そのあとで3分の2が戻る構造です。

創業直後の資金繰り表には、この時間差を入れておく必要があります。

対象期間の起点と、期限まわりの条件

助成対象期間の起点にも注意が必要です。

家賃助成の対象は、交付決定・創業・商店会加盟(区域内の場合)・賃借開始のすべてを満たした日の属する月の翌月から最大6か月です。

たとえば10月に申請して11月に交付決定を受けた場合、対象は12月分からです。それ以前に支払った家賃は対象になりません。

対象の6か月が翌年度にかかるときは、翌年度に継続申請をして承認を受ける必要があります。

交付決定後に申請内容が変わった場合は変更の申請が必要です。廃業や区外移転など対象外になった場合は、交付決定が取り消されます。

ホームページ等作成助成の対象期間は、交付決定・創業・商店会加盟のすべてを満たした日の属する月の翌月から2027年3月31日までです。

創業前の準備として事前にホームページを作成した場合は、2026年4月1日から2027年3月31日までが対象期間です。

創業後に交付決定を待たず制作費を支払った場合は、募集要項の文言からは対象期間外と読めます。支払前に窓口へ確認してください。

完成予定日が遅れても、2027年3月31日までに公開して実績報告を出せば問題ないとされています。

必要書類。揃わないと受け付けてもらえません

書類が1つでも欠けると受付されません。先着順なので、揃えてから出します。

交付申請の書類8点

交付申請時の書類は次のとおりです。

  1. 1.交付申請書(第1号様式)
  2. 2.法人:登記事項全部証明書(原本)または法人設立届出書(コピー)
  3. 3.個人事業主:開業届出書(コピー。移転した場合は納税地変更の届出書の写しも)
  4. 4.商店会への加盟を証する書類(領収書等。商店会区域内の場合)
  5. 5.法人代表者または事業主の最新年度の住民税納税証明書(原本)
  6. 6.同じく住民票の写し(原本、個人番号の記載がないもの)
  7. 7.家賃助成:賃貸借契約書の写し
  8. 8.ホームページ等作成助成:見積書の写し

登記事項全部証明書、納税証明書、住民票は、発行から3か月以内のものが必要です。

提出は持参または郵送で、申請期間中に必着です。

募集要項には「申請に必要な書類がすべて揃っていない場合は、受付できません」とあります。

先着順の制度なので、書類不備で受付が遅れると、その間に予算に達する可能性があります。

「納付すべき住民税に滞納または未申告がある者」は対象外です。前年の住民税申告が済んでいない方は、納税証明書の段階で止まります。

代表者印は、シャチハタ印や社判のみでは不可です。

商店会加盟は、事業所が商店会の区域内にあれば自宅であっても原則必要です。区域は区公式サイトの「杉並区商店街マップ」で確認できます。

他の補助金との併用と、特定創業支援等事業との関係

他の補助金との併用は可。すぎなみ創業塾の受講は要件ではありません。

募集要項には「国や東京都など他の補助金と併用する場合、同補助金から差し引いた費用を対象とします」とあります。

併用は禁じられていません。他の補助金分を除いた残りの3分の2が対象です。

申請書には、国や東京都等の補助の有無を記入する欄があります。記入例には、その補助金の側で併用できない場合があるため、申請前に補助主体へ確認するよう注意書きがあります。

区の創業支援資金(融資)については、募集要項に併用を制限する記載はありません。

特定創業支援等事業(区の創業・経営相談、すぎなみ創業塾など)の受講は、この助成の要件でも加点要素でもありません。

募集要項の対象者要件に証明書の記載はなく、区の「創業支援等事業計画」のページでも、創業スタートアップ助成は証明書による優遇措置の一覧ではなく「その他の創業支援事業」として並記されています。

証明書が効くのは、登録免許税の軽減や創業支援資金の信用保証料補助などです。創業塾の受講を待って助成の申請を遅らせる必要はありません。

最初から保存しておく証憑と、記帳上の注意

契約書は事業用・内訳つきで、家賃は振込。最初から助成前提で証憑を残します。

必要になる証憑の一覧

家賃助成では、賃貸借契約書のうち次が確認できるページが必要です。

  • 対象物件の所在地
  • 使用目的
  • 賃料等の月額合計
  • 支払方法と支払期限
  • 賃貸人・賃借人の署名捺印

共益費や水道光熱費が含まれる場合は、内訳が分かる書類も要ります。

契約時に、使用目的が事業用か、賃料と共益費が分けて書かれているか、を確認しておくと、後から契約変更を頼む手間が省けます。

毎月の家賃は銀行振込にして、明細を残してください。現金手渡しは避けたほうがよいと考えています。

ホームページ等作成助成では、見積書、請求書、領収書または振込記録、公開後のホームページの画面コピーが必要です。

初期制作費と月額費用は、見積も支払いも分けておくと実績報告が楽になります。

記帳の面では、助成額が消費税込みで計算される一方、会計上は税抜経理・税込経理の別があります。申請額と帳簿の金額が一致しない場面が出てきます。

申請書の控えと計算根拠を、帳簿と一緒に保存してください。

入金は確定通知と交付請求のあとになります。決算期をまたぐ場合は収入計上の時期が論点になりますので、顧問税理士にご確認ください。

取りこぼしの典型5つと対策

取りこぼしは5パターン。創業日が決まった時点で、どの募集回かを確認します。

公式資料から読み取れる取りこぼしは5つです。

  1. 1.創業から6か月を過ぎてから制度を知る
  2. 2.基準日の翌日以降に創業し、次の募集まで待つ
  3. 3.自宅兼事務所やシェアオフィスで創業し、家賃助成の対象外と申請時に気づく(ホームページ等作成助成は申請できます)
  4. 4.ホームページを交付決定前に発注・支払する
  5. 5.書類不備で受付が遅れ、先着順の予算に達する

対策は、創業日が決まった時点でどの募集回の対象かを確認し、次を申請開始日までに揃えることです。

  • 住民税の申告・納付
  • 開業届または登記の控え
  • 賃貸借契約書
  • 制作見積

窓口は、区の産業振興センター就労・経営支援係です(電話03-5347-9077)。

出典

本コラムは一般的な情報提供を目的としたものです。個別の税務判断は、事業の状況や適用時期により 結論が変わることがあります。実際の処理にあたっては顧問税理士にご確認ください。

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