2026年9月

杉並区で創業融資を受けるなら、区の創業支援資金・東京都・日本政策金融公庫のどれから当たるか

この記事の要点

  • 金利で選ぶなら区(実際に払う利率 年0.20%、優遇で0%)。金額と時間で選ぶなら公庫(限度額7,200万円、決定まで平均2〜3週間)
  • 区の対象(創業1年未満・2,000万円まで)を外れたら東京都(創業5年未満・3,500万円まで)。5年で借りる場合の上限利率は年2.50%
  • 公庫を先に借りても、区の申込みに必要な自己資金は増えない
  • 「特定創業支援等事業」の証明書は区・公庫・都の全部に効く。ただし取得に1か月以上かかる

杉並区で創業する方から、区の融資、東京都の融資、日本政策金融公庫のどれに行けばよいか、という相談をよくいただきます。

答えは制度の数字を並べれば出ます。この記事では、杉並区・日本政策金融公庫・東京都・東京信用保証協会の公式資料を直接確認して、金額・利率・期間・自己資金の要件を比べます。

※数値にはすべて確認日を付けています。制度は年度で改定されるので、実際に動く際は窓口で最新の条件をご確認ください。

金利で選ぶなら区、金額と時間で選ぶなら公庫

金利だけを見れば、杉並区の創業支援資金が有利です。ただし限度額と自己資金の条件があり、全員が区に行けばよいわけではありません。

杉並区の創業支援資金は、表面の利率が年1.80%ですが、うち年1.60%を区が肩代わり(利子補給)します。借りる側が実際に払うのは年0.20%です(2026年4月1日現在)。

日本政策金融公庫の創業融資は、無担保で税務申告2期未満の方の特別利率Aが年3.45〜5.05%です。創業支援貸付利率特例制度の年0.65%引下げを加えても年2.80〜4.40%です(2026年10月1日現在)。同じ金額を同じ期間借りれば、利息は一桁違います。

東京都の中小企業制度融資の「創業」は、5年以内で借りる場合の上限利率が年2.50%です。特定創業支援等事業の証明があれば年0.4%下がり、年2.10%になります(2026年10月1日改定の要項、信用保証が責任共有制度の対象外の場合)。上限なので、実際の利率は金融機関が決めます。

一方で、区は限度額2,000万円で、創業前に申し込む場合は「申込額以上の自己資金」が必要です。公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は限度額7,200万円で、自己資金の要件はありません。設備資金の返済期間も、公庫は20年以内、区は9年以内です。

都は限度額3,500万円で、創業した日から5年未満まで対象です。要項に自己資金の要件はありません。創業前に申し込めるのは、1か月以内に個人で、または2か月以内に会社を作って都内で創業する計画がある方です(特定創業支援等事業の証明があれば6か月前から)。

借入額が大きい方や手元資金が薄い方は、公庫が現実的な選択肢になります。区の対象期間を過ぎた方や、2,000万円を超えて借りたい方は、都の制度も比べてください。

杉並区 創業支援資金
東京都 創業融資
日本政策金融公庫
限度額
2,000万円
3,500万円
7,200万円
本人負担利率
年0.20%(優遇で0%)
上限 年2.50%(優遇で2.10%)※5年以内
年2.80〜4.40%
対象の時期
創業前〜創業1年未満
創業前〜創業5年未満
創業前〜開業おおむね7年以内
自己資金
申込額以上(創業前)
要項に要件なし
要件なし
設備資金の返済期間
9年以内
10年以内
20年以内
決定までの時間
窓口→面談→審査
金融機関→保証協会の審査
平均2〜3週間
金利で選ぶなら区区の対象を外れたら都金額と時間で選ぶなら公庫
3つの制度の要点。数字は本文と同じ確認日のものです。

区・都・公庫のどれから当たるか、30分の無料相談でお伝えします。当事務所の顧問の方は、融資の支援に着手金も成功報酬もかかりません。

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杉並区の創業支援資金は、自己資金と保証料の扱いに注意

創業前に申し込むなら「申込額以上の自己資金」が要ります。保証料は実質無料ですが、いったん払ってから戻ります。

限度額は2,000万円、返済期間は運転資金7年以内・設備資金9年以内です(据置1年以内を含む)。実際に払う利率は年0.20%で、4つの優遇(産業経済団体への加入、住環境と調和した業種、人材雇用、環境負荷軽減)のどれかに当たれば0%になります。

対象は、杉並区内で創業する予定の方(創業前)と、区内で創業して1年未満の方(創業後)です。

※すでに事業収入がある方、現在法人の代表者である方、区外で創業してから区内に移転した方は対象外です。区外で開業届を出してから杉並に移る順番は、この制度では不利になります。

自己資金の数え方は、リーフレットに細かく書かれています。用意した資産(預貯金、有価証券、敷金、資本金に充てる資金、購入済みの事業設備など)の合計から、借入金を差し引きます。差し引く借入金は、住宅ローンなど長期のものは年間返済額の2年分、それ以外は全額です。

自己資金に入る資産と、確認書類

資産側に入るもの

  • 残高の確認できる預貯金
  • 評価率を乗じた有価証券
  • 敷金・入居保証金
  • 資本金・出資金に充てる資金
  • 融資申込み前に導入した事業設備(不動産を除く)
  • その他客観的に評価可能な資産(不動産を除く)

差し引く借入金

  • 残存返済期間が2年以上ある住宅ローンや設備資金など、長期返済を前提とする借入金の年間返済予定額の2年分
  • その他の借入金の全額

確認書類は、預貯金は残高の推移が分かる通帳、敷金は賃貸借契約書と預り証、資本金は払込金保管証明書等、設備は領収書、借入金は返済予定表です。提出書類は融資の可否にかかわらず返却されません。

※この算出方法は、創業前に申し込む方だけに適用されます。

信用保証料は、東京都が3分の2、区が3分の1を補助し、実質全額補助になります。対象は、創業支援資金を使い、かつ特定創業支援等事業を受けた方です。

ただし、保証料はいったん信用保証協会に払い、あとで区に申請して戻す形です。融資実行時には区の補助分にあたる自己負担が出ます。創業直後の資金繰り表には、この時間差を入れておいてください。

日本政策金融公庫の創業融資

限度額7,200万円、自己資金の要件なし、原則として無担保・無保証人です。利率は年2.80〜4.40%です(特別利率Aに特例を適用)。

対象は、これから事業を始める方と、事業開始後おおむね7年以内の方です。返済期間は設備資金20年以内、運転資金10年以内です(いずれも据置5年以内)。

利率は原則として基準利率ですが、女性の方、35歳未満または55歳以上の方、特定創業支援等事業の証明書を持つ方は特別利率Aになります。証明書に加えて女性・35歳未満・55歳以上のどれかにも当たる方は、さらに低い特別利率Bです。

利率の水準(2026年10月1日現在)

無担保で税務申告2期未満の方の水準です。

  • 基準利率 年3.85〜5.45%
  • 特別利率A 年3.45〜5.05%
  • 特別利率B 年3.20〜4.80%

これから事業を始める方と税務申告2期未満の方は、創業支援貸付利率特例制度により、ここからさらに年0.65%引き下げられます(雇用を増やす場合は年0.9%)。

担保・保証人は、創業支援のQ&Aで、創業期の方は原則として無担保・無保証人で利用できるとされています。自己資金は制度上の要件がなく、同じQ&Aで「創業資金総額に占める自己資金の割合は平均で2割程度」と紹介されているだけです。

500万円を5年借りたら、利息はいくら違うか

区は約2.5万円、都は上限の利率で約32万円(証明書があれば約27万円)、公庫は約36万〜56万円です。

借入500万円・5年・元金均等・無担保のときの利息(概算)

杉並区 創業支援資金(本人負担 年0.20%)約2.5万円
東京都 創業融資(上限 年2.50%、優遇で年2.10%)約27万〜32万円
日本政策金融公庫(年2.80〜4.40%)約36万〜56万円

区は信用保証料(約4.8万円)が別途かかりますが、特定創業支援等事業を受けていれば実質全額補助です。都は保証料の3分の2を都が補助し、本人負担は約1.6万円です。公庫に保証料はありません。斜線は利率の幅による差です。

試算の前提と内訳

借入500万円、期間5年、元金均等60回、据置なし、無担保でそろえます。平均残高は約254万円です。

杉並区の創業支援資金は利率0.20%なので、利息は約2.5万円です。信用保証料は、創業関連保証の料率(500万円以下は年0.35%)と分割係数0.55で試算すると約4.8万円で、合計約7.3万円です。特定創業支援等事業を受けていれば保証料は実質全額補助なので、負担は利息の約2.5万円に近づきます。

東京都の創業融資は、上限の年2.50%で利息が約32万円です。特定創業支援等事業の証明で年2.10%になれば約27万円です。信用保証料は都が3分の2を補助するので、区と同じ料率で試算すると本人負担は約1.6万円です(一括で払う場合)。

日本政策金融公庫は保証料がかからず、利率が年2.80〜4.40%です。同じ前提で利息は約36万〜56万円です。

※公庫の利率は、資金の使いみち・返済期間・担保の有無で幅の中のどこになるかが決まります。区の表面利率1.80%も長期プライムレートで変わることがあります。都の利率は上限で、実際の利率は金融機関が決めます。目安としてご覧ください。

利息の試算をご自身の借入額でやってみたい方は、無料相談でその場で計算します。

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急ぐなら公庫。区は面談まで工程がある

公庫は申込みから決定まで平均2〜3週間です。区は窓口相談・書類・面談・審査と工程が多く、「来月開業なので今月中に」は間に合わないことがあります。

日本政策金融公庫は、申込みから融資決定までの平均所要日数を2〜3週間程度と公表しています。申込みはインターネットで24時間受け付け、創業計画書などは電子データで出せます。窓口は、法人は本店所在地、個人は創業予定地の最寄支店で、杉並区は新宿支店です。

杉並区のあっせん制度は、区が書類を受け取ってから金融機関へあっせん状を送るまでは「原則、翌営業日」と速いのですが、そこに至るまでに工程があります。

  1. 1産業振興センター窓口で相談(予約不要)
  2. 2書類を揃えて面談を電話予約
  3. 3面談(1時間程度、複数回になることも)中小企業診断士が事業計画づくりを支援
  4. 4区があっせん状を金融機関へ発送原則、申込書類を受領した日の翌営業日
  5. 5金融機関・信用保証協会の審査
  6. 6融資実行
杉並区のあっせん制度の流れ。速いのは4だけで、そこまでに1〜3があります。

面談では相談員の中小企業診断士が事業計画づくりを支援するため、計画の出来によっては複数回になります。そのあとに金融機関と信用保証協会の審査が続きます。

併用するなら順番。1年を過ぎたら東京都の制度もある

公庫を先に借りても、区の申込みに必要な自己資金は増えません。区の対象期間(創業1年未満)を過ぎたら、東京都の創業融資が選択肢になります。

両制度の併用を禁じる記載は、どちらの公式サイトにもありません。ただし順番に落とし穴があります。

区の自己資金の数え方は、借入金を全額差し引きます。公庫から借りたお金が口座にあると、預貯金として足される一方、借入金として同額が引かれます。差し引きゼロです。

公庫から先に借りた場合の、区の自己資金額の計算

資産側

預貯金が増える

+500万円

差し引く借入金

その他の借入金は全額

−500万円

自己資金額

変わらない

±0円

「公庫で資金を作って、それを自己資金として区に申し込む」は成り立ちません。

つまり「公庫で先に資金を作って、それを自己資金として区に申し込む」は成り立ちません。逆に区を先にする場合、創業前の申込みは申込額以上の自己資金が要るので、借りられる額は手元資金に縛られます。

※これは区の要件の話です。金融機関と信用保証協会の審査は別に行われ、既往借入の有無や総額は返済能力の観点で見られます。可否はここでは断定できません。産業振興センターの相談員と金融機関の双方に、既往借入を開示して相談してください。

区の創業支援資金は「創業した日から1年未満」までです。1年を過ぎると区の制度は「新事業展開資金」(限度額1,500万円、実際に払う利率 年0.67%)になり、条件が下がります。

もう一つの選択肢が東京都中小企業制度融資の「創業」です。創業後5年未満まで対象で、限度額3,500万円です。

東京都創業融資の条件(2026年度要項・10月1日改定版)

2026年度の要項(10月1日改定版)では、融資限度額3,500万円、運転資金7年以内・設備資金10年以内(据置1年以内を含む)、創業後は「創業した日から5年未満」まで対象です。

信用保証料は東京都が3分の2を補助します(分割納付する場合は補助対象外)。

融資利率は利率区分②です。責任共有制度の対象外となる保証であれば、固定金利で年2.40%以内(3年以内)から年2.90%以内(7年超10年以内)です。2026年10月1日に、上限が一律0.25%引き上げられた後の水準です。特定創業支援等事業の証明を受けている場合などは「創業支援特例」として年0.4%優遇されます。

併用の順番と自己資金の見せ方は、申し込む前に相談してください。

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先に「特定創業支援等事業」を受けておく

証明書1枚で、区の保証料補助・公庫の特別利率・都の利率優遇・登録免許税の軽減が付きます。ただし取得に1か月以上かかるので、開業の1〜2か月前には動き始めてください。

「特定創業支援等事業」は、区の創業相談やセミナーを一定回数受けると、区が証明書を出してくれる仕組みです。杉並区で創業する方にとって、費用対効果が最も高い準備だと考えています。

証明書を取ると、次の4つが効きます。

  • 区の創業支援資金:信用保証料が実質全額補助
  • 日本政策金融公庫:特別利率A
  • 東京都の創業融資:年0.4%の利率優遇
  • 株式会社・合同会社の設立時の登録免許税:税率0.7%から0.35%に軽減

杉並区の要件は、特定創業支援等事業を4回以上、原則1か月以上の期間にわたって受け、経営・財務・人材育成・販路開拓の知識を習得することです。対象は、6か月以内に事業を始める具体的な計画を持つ個人と、事業開始後5年未満の方です。

※現在法人の代表者である方が新たに法人を作る場合や、すでにフリーランスの方が法人化する場合は対象外です。

区の実施事業には、中小企業診断士による無料の創業・経営相談(月〜金)、創業セミナー、すぎなみ創業塾、すぎなみ創業スクールなどがあります。

杉並区での段取り

まず産業振興センターへ行き、同時に特定創業支援等事業の受講を始めます。助成金(家賃・ホームページ)も同じ窓口なので一緒に聞いてください。

段取り6ステップと持ち物
  1. 1.杉並区産業振興センター就労・経営支援係へ行く(杉並区上荻1-2-1 Daiwa荻窪タワー2階、電話03-5347-9182、月〜金8時30分〜17時、祝日・年末年始を除く)。初回相談は予約不要
  2. 2.並行して、特定創業支援等事業の受講回数を積み始める。4回以上かつ1か月以上という要件は、後から巻き返せない
  3. 3.融資を希望する取扱金融機関に、区の制度で申し込む予定であることを伝え、担保と保証の内容を確認する(面談日までに済ませる)
  4. 4.自己資金の確認書類を揃える。通帳、賃貸借契約書と預り証、資本金の払込証明、購入済み設備の領収書、既往借入の返済予定表。法人は発行後3か月以内の印鑑証明書・履歴事項全部証明書も
  5. 5.書類が整ったら、電話で面談を予約する
  6. 6.申込後、区は原則翌営業日に取扱金融機関へあっせん状を発送。以降は金融機関と東京信用保証協会(新宿支店、電話03-3344-2251)の審査

あわせて検討したいのが、杉並区の創業スタートアップ助成事業です。家賃(最大30万円)かホームページ制作費(最大20万円)のどちらかを、3分の2助成してくれます。2026年度の第2回は10月1日〜11月30日で、先着順です。

助成の中身は別の記事にまとめています。会社設立の書類作成と設立後の届出は、当事務所が無料でお手伝いしています。

融資の申込み書類の作成と金融機関との面談への同席も、当事務所の顧問の方であれば追加料金なしでお手伝いしています。

創業計画書づくりと申込みの段取りを、30分の無料相談で一緒に整理します。

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※審査の可否や個別の税務上の取扱いについて、本記事では判断を示していません。具体的な組み立ては、顧問税理士にご確認ください。

出典

本コラムは一般的な情報提供を目的としたものです。個別の税務判断は、事業の状況や適用時期により 結論が変わることがあります。実際の処理にあたっては顧問税理士にご確認ください。

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当事務所はJR高円寺駅から徒歩圏にあり、杉並区・中野区・練馬区で創業する方の融資のご相談をお受けしています。初回30分の無料相談で、区・都・公庫のどれから当たるかと、申込みまでの段取りをお伝えします。顧問の方は、融資の支援に着手金も成功報酬もかかりません。

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