社宅と住宅手当のどっちが会社にとって有利?【税金のプロが解説】

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従業員の住まいを会社が補助する手段として、主に家賃補助(住宅手当)と社宅制度の2つがあるかと思います。

今回は、会社にとって家賃補助と社宅制度のどっちが有利なのか、解説していきます。

【この記事で分かること】

✅️家賃補助を採用した場合のメリット・デメリット
✅️社宅制度を採用した場合のメリット・デメリット
✅️家賃補助と社宅制度を選ぶ判断基準

この記事を書いた人

公認会計士試験合格後、PwCあらた有限責任監査法人(現PwC Japan有限責任監査法人)の金融事業部へ入社し、会計監査・内部統制監査・アドバイザリー業務に従事。監査法人退所後は会計コンサル会社に勤め、経理支援やシステム導入に従事し、経理現場の改善に努める。その後、公認会計士・税理士として独立開業し、株式会社Lessおよび金子佳祐公認会計士・税理士事務所を創業。

1.住宅手当と社宅の概要

まずはじめに、従業員の住宅に関する福利厚生としてお馴染みの、住宅手当と社宅について解説します。

住宅手当

住宅手当とは、会社が従業員に対して住居費用の一部を補助するために、給与に上乗せして手当を支給する手当です。

例えば「会社の最寄り駅から数駅圏内の物件」に住む従業員へ住宅手当を支給することで、従業員の通勤負担を軽減し、従業員の満足度を高めることができます。

社宅制度

社宅制度とは、会社が従業員に対し直接住居を提供する制度のことです。

会社はまず自社で社宅とする建物を購入するか、不動産会社などから賃貸借契約を結び、社宅を設置します。

その後、会社は従業員に対して比較的安価で住居を提供します。

こちらも、従業員の家賃負担を軽くする点では同じです。また、社宅が会社から近ければ通勤負担も軽減できるので、従業員の満足度を高めることができます。

2.住宅手当と社宅のメリット・デメリットを比較

住宅手当と社宅のメリット・デメリットは以下のとおりです。

社宅

メリット
✅️税金面で有利
デメリット
✅️物件の空室リスクがある
✅️物件の管理コストがかかる


住宅手当

メリット
✅️物件の管理が不要
✅️採用面で有利
デメリット
✅️手当分が課税される

順番に解説します。

社宅のメリットとデメリット

まず社宅の大きなメリットは税金面で有利なことです。

住宅手当と社宅も家賃を補助するという点では同じですが、住宅手当は給与に上乗せる形で従業員に支給するため、その手当となる金額は給与に含まれます。

給与の金額が増えると、会社は社会保険料の負担が、従業員は社会保険料と所得税の負担が生じます。

一方で社宅の場合は、給与から社宅控除として天引きするため、社会保険料や所得税の負担がありません。

※ただし、従業員に一定額の家賃を負担してもらわないと実質的な給与とみなされ課税されます。一定額の家賃とは以下の計算式で算出される合計金額の50%以上です(それでも基本的に相場よりかなり安くなります)。
ⅰ.建物の固定資産税の評価額 × 0.2%
ⅱ.12円 × その建物の坪数
ⅲ.敷地の固定資産税の評価額 × 0.22%

逆に社宅のデメリットですが、会社が物件を賃貸している場合、空室が原因で賃料が回収できずに損してしまうリスクがあります。

また、従業員の入居や退去の手続きなど管理コストもかかるでしょう。トラブル防止のためにルールを明示するべきなので、社宅規程を作成する必要もあります。

外部に管理を委託する手段もありますが、そうすると委託費用がかかってしまい、金銭的な負担が生じます。

なので、実際の節税効果と管理コストを天秤にかけて、採用するか判断することになるかと思います。

住宅手当のメリットとデメリット

住宅手当のメリットは、物件の管理をする必要がないため、管理コストや空室リスクがないことです。

手当を支給するために従業員からの申請手続を受ける必要がありますが、社宅と比べて手間は比較的少ないです。

また、従業員にとって住宅手当のほうが住む物件の選択肢が広いので、採用面でもアピールポイントになります。

逆にデメリットとしては、先ほど申し上げた通り住宅手当分が課税されてしまうため、会社と従業員の双方に金銭的負担が生じてしまうことが挙げられます。

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4.住宅手当と社宅のメリットを理解して適切な福利厚生を導入しましょう

いかがでしたでしょうか?

このように住宅手当と社宅にはそれぞれ違ったメリットがあるため、自社にあった福利厚生を選択することが大事です。

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最終更新日:2024年7月27日